top of page

なぜ日本の生態系は外来種に弱いのか

日本列島の特異な生態系

 1万2千年前、最終氷期の後日本海により孤立的な状態となった日本列島。その後19世紀と20世紀における飛行機や船などの交通機関の発達までおよそ1万年間、日本に生息してきた生物たちは外来の脅威を知らず生態競争が比較的少ない状況下にいた。また小さな島々にて限られた生息域しかない日本の動植物は進化の過程にて小型化が見られ、例としては北海道に生息するエゾヒグマは最大2.3メートル程度にしか成長しないことに対し、近縁種のコムチャックタヒグマは3メートル近くまで大きくなる。

 生態競争が少ないのは日本における種の豊富さからもうかがえる。6800の

島から構成される日本列島は、海や山により列島内においても他地域の交流

が非常に少ない。それにより生物の移住により新たな種の誕生が頻繁に

起き、複数の種が1つのニッチを求め競争することがほとんどないので

ある。故に個体の繁殖力も低く、天敵が少ない日本の動植物は多くの出生

を繰り返し数で生態競争に生き残る必要がないのだ。

外来種の国内侵入

 記録として残っている最古の外来種の国内侵入は飛鳥時代における大陸からの土鳩の渡来である。土鳩は以来1500年間日本にて大量繁殖し、その社会力の高さと人間界に馴染み共存することができる特異な能力により現在では在来の鳩13種を遥かに上回る数を誇っている。このように外来種は古来から存在してたが、社会的な問題として懸念され始めたのが昭和時代、車・船・飛行機・電車を始めとする交通機関が急に発達した時期である。2000種以上の外来種が現存する日本において、その侵入

経路は様々あり一本化されていないが多くは意図的導入と非意図的導入に区

分される。意図的導入とはペットや狩猟対象として海外から持ち込まれ、

その後野生化したもののことであり、非意図的導入は軍事物資や交通機関

に紛れ込み侵入したものである。政府や地元の自治体は侵入経路に税関

を設けるなど日本の生態系崩壊の原因となる外来種の侵入を防ぐ対策を

取っているが、事実一度国内に侵入した外来種はその根絶がほぼ不可能に近く、

外来種問題は解決の目処が立たないのが現状である。

bottom of page